2017.03.06 23:43

鳥取県智頭町タルマーリー見学報告(太田)

Brewing Tonoメンバーで、山陰地方のブルワリーを訪ねています。

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鳥取県智頭町にあるタルマーリーは店主の渡邉格(わたなべいたる)さんが書いた『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』で有名になったパン屋さんです。おととしに今の場所に引っ越してきてからはビールの醸造も開始して、あっという間にビール業界にも名前を知られるようになりました。昨年末、渡邉さんが東京で講演をした際に見学を申し入れたところ、快く応じていただき今回のツアーのメイン見学先となりました。

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保育園だった建物を改造した店舗。「タルマーリー」の名前の由来は協同経営者であるご夫婦の名前をくっつけたもの。夏場は週5日営業ですが、それ以外は週4日営業。さらに、今年度は1月から2月までは完全休業(来年度は1ヶ月休業の予定)という、「年中無休サービス」的風潮に完全に背を向けた営業。それでも、全国各地から山陰地方の山の中のこの店にお客さんがやってきますし、韓国や台湾からもやってきます。

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やってきた当日は、お店が忙しい日曜日なので見学は遠慮して、ビールとパンをいただきました。とてもキレのある、雑味がほとんど感じられないビールです。パンもピザも美味しいです。

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タルマーリーの最大の特徴は、パンもビールも自家採集した野生酵母しか使っていないというものです。自分で取ってきた酵母でここまで美味しいビールが作れてしまうのが驚き。酵母はビールの味を決める大きな要因ですし、多くのブリュワーは自分の求めるビールを作るために、どういう酵母を選ぶのかに日々頭を絞っています。大手ビールメーカーは酵母を門外不出とし、試験所や酵母メーカーは新種開発に励んでいて、微生物学的な設備を持たない普通のブルワーが、酵母を自家調達してしまうというのは現代では相当に珍しいことでしょう。

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翌日の月曜に改めてお店を訪れ、醸造を担当されている三浦弘嗣さんに醸造所を案内していただきました。今までも、様々なマイクロブルワリーを訪ねてきましたが、タルマーリーの醸造設備がそこから大きく変わるわけではありません。保育園の給食室を改造して作られた醸造所に詰め込むように並べられたタンクや釜は高価なものではなく、安い方の部類に属します。それでも、あれだけ美味しいビールが作れてしまうのですね。

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三浦さんによれば、使っている酵母は2種類。引越し前の真庭で採取した「出所がよくわからない酵母」(通称「真庭酵母」)と、果物や干し葡萄から採取したものの2種。研究室で分離培養された酵母ではなく、三浦さんと渡邉さんが自分で集めて育てた酵母なのです。

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施設見学の後、パンの仕事を終えた渡邉さんにも加わっていただいて、酒造免許取得や経営の話などもお伺いしました。幸いにして、ビール販売は好調で、生産と設備が追いつかず、早くも拡張を考えているということです。自家採集野生酵母というコンセプトでパンとビールの世界でブランドを確立したタルマーリー。それに対して、遠野でのビール造りのコンセプトは何なのか。なかなか答えの出せない問いかけを、ここでも突きつけられたような気がします。

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(太田記)

 

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